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AOIにおける汎用的な文字照合
AOI(基板外観検査装置)では、不良品流出を防ぐためチップやコンデンサの文字識別による品質検査機能が使われています。これまでこの分野には、OCRにより読み取った文字列を照合する方法や、正規化相関マッチングのスコアによる判定が広く使われてきました。しかしながら、これらの手法には下記のような課題があり、そのため汎用的に利用可能な文字照合手法のニーズが高まりを見せています。
課題1: 印刷品質が悪い対象物や、文字同士の隣接により文字の分離が困難
課題2: 印刷に使われる文字が特殊な場合や、6とGなど類似する形状に対して安定した判定が行えない
課題3: OCR結果のスコアが人の直観に近い物でないため、結果の正当性をスコアにより評価できない
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本号では、上記課題を解決するソリューションとして、OCR特徴量を用いた文字照合手法をご紹介します。
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OCR特徴量による文字照合ソリューション
AOIの分野で使われる文字識別では、既知の文字が指定の場所に正しく印刷されているかの判定が必要とされ、そのためOCRにより文字を読むことは必ずしも必要ではありませんでした。さらに、正解データを登録する際に良品画像を用いてパターン登録を行えるケースも多く、正解の文字列の情報だけでなく、豊富な画像情報も同時に取得が可能でした。
以下にご紹介する手法では、この良品画像に含まれる豊富な画像情報を活用することで、各文字の形状がどれだけ正解に近いかを判定し、人の認識に近い判定基準での文字照合処理を実現しました。
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モデルデータの登録
ステップ1: 文字を囲む矩形領域の入力 良品画像から、文字列を囲む矩形、またそれぞれの文字を囲む矩形情報を与えます
ステップ2: マッチングモデル作成 文字列を囲む矩形範囲に対して正規化相関マッチング用のモデルを作成します
ステップ3: 文字の領域抽出 2値化などの処理のより各文字領域を抽出します
ステップ4: 各文字のOCR特徴量取得 それぞれの文字領域からOCR特徴量を取得し、正しい形状の特徴量を登録します
ステップ5: 正解文字列情報の入力 それぞれの文字を何と読むのか、正解情報を与えます
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印字文字の照合検査
ステップ1: マッチングによる位置決め マッチングにより、チップの大まかな位置および向きを取得します。正規化相関マッチングを用いる事で、ボケや印刷のかすれ、文字形状の差異に対してロバストな位置決めが行えます。
ステップ2: 文字分割 マッチングで得られた位置姿勢情報をもとに、各文字の抽出、自動分割を行います。登録時に各文字が印刷される領域を取得したことで、文字の近接や局所的な文字欠損などの影響を受けない安定した文字分割が行えます。
ステップ3: 各文字のOCR特徴量抽出 各文字の形状情報を表すOCR特徴量を取得します。get_features_ocr_class_mlpオペレータのみで、局所輝度勾配等の様々な特徴量を取得できます。
ステップ4: 特徴量空間でのスコア算出
自動セグメンテーションにより得られた各文字の特徴量と、対応する正解データの特徴量を多次元空間の距離を算出します。これにより、登録した文字形状とどれだけ形状が似ているかのスコアが得られます。そのためサイズの違いや、かすれ、わずかな形状変化に過敏にならず、人間の感覚に近いスコアを取得することが可能です。
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